ファッションにおいて、トレンドを無視することは決してできません。
かつて流行した服装を今見返してみると、なんでこんな格好を?と思うこともありますが、間違いなく当時はイケているスタイルだったのです。
おしゃれであるという物差しは常に変化を続けています。
その時代、その時代でしか楽しむことができないファッションを、着こなしていくことこそがファッションの醍醐味ではないでしょうか。
さて、今回はそんなファッショントレンドについて。2021年は、一体どんなトレンドが中心となっていくのかキーワード、そして具体的に流行しそうなアイテムを予想・解説していきたいと思います。
新型のウイルスの影響が顕著に
まず、ざっくりとした全体感ですが、やはり今年のトレンドを語る上で無視できないのが新型ウイルスの影響。人々の外出機会が減ったことや、そもそも商品の生産、新作を発表するショーが滞ったこともあり、例年に比べるとトレンドの移行は緩やかになりつつあります。
とはいえ、緩やかでも確実にトレンドは変化。2020年と2021年は確実に違うものが流行ってくことは間違いありません。
2021年の特徴は、2019,2020年とゆるやかに移行してきた連続性のあるトレンドと、今回の状況下を受けて、人々が求めるようになった突発的なトレンドが互いに交わりながら存在しているのが、なかなか興味深い点ではないでしょうか。
そもそも流行はどこを見れば分かる?
ファッションのトレンドは川上から川下へかけて移行していきます。この川上のあたるのが、皆さんがご存知のいわゆるハイブランド。パリやミラノなどでコレクションを発表しすることで、次は国内のデザイナーズブランド、そして、ファストファッションへ少しずつゆっくりと波及していきます。
つまるところ、この一番上をみていけば、だいたいそのシーズンのトレンドは予測できるということ。コレクション自体は実際に販売される時期の1年ほど前に行うものなので、コレクションをチェックしていれば、「来年はこういうモノが流行ってくるんだな〜」というのがなんとなく分かってくるわけですね。
グレーとイエローがトレンドカラー
よく雑誌の記事なんかで「今年のトレンドカラー!」のような特集が組まれているのを目にしますが、これは一体誰が決めているの?と思われる方もいるかもしれません。
これは、世界中で使用されている色見本を帳を製作するアメリカのPantone(パントーン)社が毎年年末に発表しているもの。(ちなみに昨年2020年は、クラシックブルーでした)
そして、2021年は、「Ultimate Gray(アルティメット・グレイ)」と「Illuminating(イルミネイティング)」の2色となりました。これは色見本上の名称で、色味としてはライトグレー、ライトイエローといったところ。
永続的なUltimate Grayと明るいイエローのIlluminatingの組み合わせは、不屈の精神に支えられたポジティブなメッセージを表現しています。実用的でしっかりしていると同時に、暖かみがあり楽観的なこのカラー・コンビネーションは、私たちに回復力と希望を与えてくれます。私たちは、励まされ、元気づけられる必要があり、これは人間の精神に不可欠なものです。 ー パントン・カラー・インスティチュートのエグゼクティヴ・ディレクター、レアトリス・アイズマン
Photo Via : PRADA SS 2021 Womenswear
このウイルス下で落ち込んだ世界中の気分を晴らす、そんな意味合いが込められているようですね。また、各ブランドのでも、レッド、グリーン、ブルーなどビビッドなカラーがよく用いられているのが非常に印象的。
今年の着こなしは、シンプルなスタイルに蛍光色のような鮮やかな色味を加える着こなしがトレンドになっていきそうです。
1. リラックス
Photo Via : DIOR サマー 2021 メンズ コレクション
特にこの状況下を反映しているキーワードが「リラックス」。通勤通学が減り、リモートを中心とした新しい生活様式の中で、なるべく”楽に”おしゃれをしたいというムードが高まっています。
ワンマイルウェアなんて呼ばれるような、ちょっとそこまでコンビニやスーパーに買い物に行ける程度の部屋着もぐっと市場に増えてきました。
また、ビジネスシーンにおいてもかっちりときめたスーツスタイルから簡易的なセットアップへ変化。デザインよりも機能性や着心地に重きをおいたアイテムは今後も増え続けていくことでしょう。
2. サステナブル
以前もCASUAL NOTEで特集記事を書きましたが、このサステナブルは今後数年にわたるファッションのビッグキーワードと言って過言ではないでしょう。
直近の目立つ動きで言えば、adidasが名作スニーカー「スタンスミス」の全商品に関して、今後動物由来の素材(牛革など)を使用せず、リサイクル素材に切り替えていくことを発表しました。
同社にとって看板とも言える商品でこうした動きを打ちだしていくことは業界にとって非常にセンセーショナルですし、今後競合企業もこの流れに追随していくことでしょう。
あとはアイテムそのものだけでなく、服の流通市場も変化していくでしょう。不要になった服をすぐに廃棄してしまうのではなく、他の人に譲って着てもらうのもサステナブルなアクションの一つ。
これまでは新品の商品を直営店やセレクトショップで購入する機会がほとんどでしたが、近年フリマアプリをはじめとするCtoCでのファッション二次流通市場が盛り上がりを見せています。
2019,2020年と前年10%以上の成長を続けており、2022年は約1兆円規模になるとも予想されるホットな市場。今後ますます目が離せません。
3. クラシカル・エレガンス
こちらは2020年秋冬から引き続いてのトレンド。
トレンドは繰り返しの連続であるとよく言われますが、ここ2,3年で全盛を迎えたストリートファッションが広まりきった反動か、メンズ・レディースともに正統派な装いを提案するブランドが増えてきました。
スキニーパンツからスラックスへ、ブルゾンからジャケットへ、着丈は短めからやや長めに。
ただ、こうした古典的なスタイルをそのままリバイバルするのではなく、こうした装いの中に、上記のリラックス感やサスティナブルといった要素を組み合わせた新たなスタイルが、きっと今年のスタイルになるはず。
今回は今年の春夏に注目すべきトレンドキーワード、そしてトレンドカラーについてお伝えしてきましたが、いかがだったでしょうか。
【関連記事】
2021年春夏のファッショントレンド予想!注目すべき「アイテム」はこれです