背中に背負うバッグを指して、あるときは「リュックサック」、あるときは「バックパック」と呼びますが、これらの違いがわかりますか？
そこで今回は、リュックサックとバックパックは何が違うかについて、それぞれの歴史やイメージを踏まえて詳しく解説していきます。
これを読めば、リュックサックとバックパックそれぞれの呼び方を、適切に使い分けられるようになりますよ。
リュックサックとは？
「リュックサック」はドイツ語由来の呼び方です。アルファベットだとrucksack、直訳では「背負うための袋」という意味になります。
なぜドイツ語由来の単語が日本で定着したか、その背景には登山文化があります。日本の登山文化はドイツ発祥のワンダーフォーゲルに端を発しているため、そこで使われる道具の大半がドイツ語由来になっています。リュックサック以外の例を挙げると、カラビナやアイゼンなどもドイツ語がもとです。
ちなみに、リュックサックを短縮して「リュック」と呼ぶことが多いですが、後半を残した「ザック」という呼び方もあります。こちらの場合は登山感が強くなるので、「リュック＝普段使い」「ザック＝登山用」と捉えておくと良いでしょう。
バックパックとは？
「バックパック」は英語に由来する呼び方で、アルファベット表記だとbackpackとなります。直訳すると「背中の荷物」という意味です。
バックパックと聞くと「バックパッカー（backpacker）」という言葉を連想する人も多いのでは。バックパッカーとは、荷物1つでヒッチハイクなどをして低予算で旅をする人のことを指しますが、彼らが背負っているものこそがバックパックの原風景と言って良いでしょう。
バックパッカーはヒッピー文化から派生した文化ですが、日本に入ってくる際はアメリカを経由してきました。そのため、「バックパック＝アメリカ」というイメージが未だに根強く残っています。
リュックサックとバックパックは何が違う？
以上見てきたように、リュックサックはドイツ語由来、バックパックは英語由来と出自が異なるものの、本来はどちらも背中に背負うバッグを表します。そのため、基本的にはどちらの呼び方を使っても問題ありません。
しかし、2つの呼び方が併存しているということは、それぞれにイメージの違いがあるということ。ここでは、リュックサックとバックパックという呼び方の持つイメージの違いについて確認しておきましょう。
イメージの違い①：日常用途か旅行用途か
日本では、リュックサックと呼ぶと「日常で使うバッグ」を、バックパックと呼ぶと「旅行用のバッグ」をイメージする人が多いです。その主な理由は、言葉としての歴史の違い。
リュックサックという言葉が日本に流入したのは、1930年代のころ。ワンダーフォーゲル活動と一緒に広まりました。
その一方、バックパックという呼び方が知られるようになったのは、早くとも1960年代のあたりでしょう。当時流行したヒッピー文化とともに日本に入ってきました。
このように、リュックサックとバックパックは、日本で使われ出した時期に差があります。そのため、日常的に広く用いるものは馴染みのあるリュックサックと呼び、旅行用に用いるものを限定的にバックパックと呼ぶようになったと推察されます。
イメージの違い②：サイズが小型か大型か
日本では、比較的小型のものをリュックサック、大型のものをバックパックと呼ぶ傾向もあります。この理由は、リュックサックが登山由来で、バックパックが旅行由来だからです。
登山用のリュックサックは、どんなに大きくても数日分の食料やテントが入るサイズで十分。あまりに大き過ぎると、登山時の歩行を妨げてしまいます。
その一方、バックパッカーたちは基本的に宿無しで長期間過ごすことから、衣服や食料、寝袋などを入れるために、可能な限り大きいバックパックを背負います。
このような違いから、現在ではサイズの点で「リュックサック＜バックパック」というイメージが根付いたのでしょう。
ちなみに、バックパックの小型版として「デイパック」という呼び方もあります。名前の通り1日（デイ）分の荷物に対応した小型タイプのため、ほとんどリュックサックと同じ意味と捉えて問題ありません。
まとめ
リュックサックとバックパックは、背中に背負うバッグという意味では同じですが、そのイメージに違いがあります。
小型で普段使い用のものはリュック、大型で旅行用のものはバックパックと呼ぶと間違いありませんが、メーカーによって解釈が異なる場合もあるので、購入する際は注意が必要です。
今回ご紹介したことを参考に、自分自身のライフスタイルに合わせたバッグを選びましょう！
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